殺戮都市~バベル~
狂ったように何度も声を上げ、悲しみを全て吐き出すかのように、近くにあった物になる当たり散らした。


しばらくして、心にポッカリと穴が空いたような虚しさに襲われて……俺は地面に腰を下ろす。


「落ち着いたか?悲しくても、怒りに打ち震えても、死んだ人は帰って来ない。奈央さんは言っていただろ?真治君が強くなる事を……望んでいるんだ。ここで立ち止まるな」


黒井の言葉が刺さる。


「わかってる……わかってるよ!だけど、大切な人が死んで、はいそうですかって簡単に切り替えられるわけがないじゃないか!」


「わかるよ。だけどこの先、それを求められる場面がまた出て来る。その時にも、今と同じように嘆くだけか?」


何を言っても反論される。


この街で、そんな場面に多く遭遇して来たのだろう。


俺を見るその目は、冷たいものだった。


どんな言葉を発すれば良いのか……答えが出ないまま、立ち尽くしていた時。


その声が聞こえた。











「……真治君?もしかして……いや、もしかしなくても真治君だよな?」









ビルとビルの間、人一人が通れるかという路地から、俺を呼ぶ声が聞こえた。


警戒しながら、そこにいた人影に視線を向けると……。
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