殺戮都市~バベル~
後ろ足に接近し、思ったよりも余裕かなと思っていたけど……待ち構えていたかのように、盾が横から迫って来た!


負傷した左腕で、よくもまあこんな攻撃が出来るなと驚き、俺は慌てて盾の反対側に飛んだ。


移動速度と相まった攻撃は、驚異的な速度だったけど……そうじゃない攻撃は、大した速度じゃない。


腕を負傷しているというのもあるのだろうけど。


日本刀を振り上げ、後ろ足に斬り掛かった俺は、息を吐くと共に日本刀を振り下ろした。


完全に入った……と、思ったのに。


前足よりも多くの体毛で守られた後ろ足は、日本刀の攻撃を皮膚まで到達させなかったのだ。


一本一本の体毛が、太く硬い。


それらが鎧と同じ効果を発揮している。


「嘘だろ!?身体が大きいからって、毛まででかいのかよっ!」


腕の力だけで日本刀を振ってもダメだ。


やるなら、勢いを付けて斬らないと!


そう思って後方に飛び退いた時だった。









「グルルルアアァァァァァァッ!!」








俺の動きに合わせるかのように、駆け寄って来たポーンが、大きな口を開けて俺に迫ったのだ。


それも、近くにいるだけで三匹。


着地と同時に振り返った俺は、日本刀を横に振り抜いた。
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