殺戮都市~バベル~
「ま、どっちにしても化け物を殺せたんだ。これで安心して東軍に……」


フウッと溜め息を吐いて、黒井が光の壁の切れ目にランスの尖端を向けた時だった。


その尖端の先……塔の壁面に近い場所に、もう一体ナイトが見えたのだ。


さらに、押し寄せるポーン達。


「は、はは……ナイトは一体だけじゃないんですね」


「こ、こんなやつと何度も戦えるかよ!真治君!走るぞ!」


実力者の黒井も、さすがにナイトと二度戦うのは厳しいか。


迫るポーンを蹴散らしながら、俺と黒井は光の壁の切れ目に向かって走った。


もう、ポーンには驚異を感じない。


黒井のランスの突きが、俺の日本刀の斬撃が、容易にポーンを倒して。


以前よりも壁越えが容易になったと感じるけど……それでも、壁を越えた頃に俺達に気付く別のナイト。


すぐさま向きを変えて、高速で俺達に迫って来たのだ。


「おいおい!勘弁しろよ!もう化け物は良いんだって!!」


黒井がいくら拒んでも、ナイトは動きを止めてくれない。


ポーンよ強くなった者は、簡単に光の壁を越える事が出来てしまう。


それを食い止める為に、塔に近寄らせない為にナイトが配置されたのだろうから。
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