殺戮都市~バベル~
それでも、なんとか逃げ切った俺達は、東軍に入って近くのビルに身を潜めた。


見てわかる程の傷を負っている黒井と……ナイトの攻撃を回避し切れなかったのだろう。


安心して集中力が途切れた途端、俺の腕と足に痛みが走ったのだ。


「うわ……これ、折れてるのかな。凄く腫れてる……」


触っただけでわかる。


ナイトの後ろ足に近付こうとした時に盾を振られた時と……最後の一撃の直前にかすった槍か。


回避したと思ったのに、少し触れただけでこれとは。


「ここからは敵地だからな。油断せずに回復してから行こう」


「そうですね。この程度なら、通常回復でも少し休めば……あれ?」


PBMを取り出して、画面に視線を落とした俺は……ソウルが一つ増えている事に気が付いたのだ。


確か……ソウルは7個だったはず。


それなのに今は8個に増えてる。


「どうした?何かおかしな事でも……あれ?ソウルが一つ増えてる。敵軍の人間を殺したわけじゃないのに」


俺と同じ疑問を、黒井もPBMを見て感じているようだ。


「く、黒井さんもですか?俺も増えてるんですけど……何でしょう、これ」


と、言っても……俺にも黒井にも、それがどういう事なのかわかるはずがなかった。
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