殺戮都市~バベル~
敵に発見されないように、なるべく路地を選んでビルへと向かう。


「へぇ、あの時の女の子がねえ。見かけによらず、なかなかやるじゃん。どうなの?惚れたわけ?」


「い、いや……俺には他に好きな人がいるんですよ。だから、あいつがどう思ってくれてても応えられないっていうか……」


「バッカだねぇ、そんなの深く考える必要なんてないでしょ。こんな街にいるんだからさぁ、ちょっとでも好意を持ってくれる子がいたら、手ぇ出しちゃいなよ。誰も気にしないって」


……そんな物なのかな。


そう言えば、理沙も元の世界と比べると積極的と言うか……今思えば、俺という知り合いに出会って嬉しくなっただけなのかなとも思えて来たよ。


「ま、まあ……俺は良いです。好きな人も東軍にいますし」


あれから一度も理沙には会っていない。


こんな事なら、フレンド登録しておけば良かったな……探すにしても、サーチも出来ないのにどうやって探すつもりだったんだ俺は。


しばらくそんなくだらない話をしながらビルに向かっていると……。


「だからさ!あんた達は奥手過ぎるんだって!惚れたら押し倒して上に乗っちゃえば……」


交差点の右側から、やけに大きな声で話しながら現れた女性三人。


その姿に……俺は見覚えがあった。
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