殺戮都市~バベル~
「キミ……確か真治君。好きな人には会えたの?その為に東軍に来たんでしょ?」


そう言えば、そんな事をこの子達は言っていたな……。


まあ、当初とは目的が変わってしまったけど、間違ってはいないかな。


「いえ……仲間が捕まってしまってですね。助けに行かなきゃならないんですよ。もう10日も前になるから、早く行かないと」


何だか普通に話してしまったけど……これ、言っても大丈夫だったのかな。


ステルス機能をオンにしているけど、俺が南軍の人間だってバレてしまったし、下手に隠すよりは本当の事を言った方が良いかもしれない。


「……それで、懲りもせずにまた中央部を越えて来たの?あっちから歩いて来たって事は、そう言う事なんでしょ?またナイトにやられるかもしれないのに」


「は、はは……あの時は助けてくれてありがとうございました。まあ、今回は何とか……」


と、自分でも引きつっているとわかる笑顔を浮かべたその時だった。


黒井が……ランスとソードブレイカーを取り出し、腰を落として構えたのだ。


ここにいる事を知られるなって言った張本人が臨戦態勢!?


「ちょっと……何してるんですか黒井さん!」


慌てて黒井を止めようとしたけど……。


「真治君こそ何をしてる!誰と話しているかわかっているのか!?こいつは……狩野明だ!」
< 572 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop