殺戮都市~バベル~
「お、俺は……狩野さんに助けてもらったし、ここで戦いたくはありません」


俺の言葉に、驚いた表情を見せた女性三人。


何か変な事を言ったかな。


いくらこの街で敵味方に分かれているとはいえ、助けてくれた人に刃を向けるなんて事が出来るだろうか。


俺の考えはおかしいのかな。


「な、なんか変わった子だね。どうするの明ちゃん。てか、私達はどうすれば良い?」


真冬が、少し戸惑ったように尋ねる。


「……真冬と美優は下がってて。真治君に戦う気がなくても、黒井は戦わないと納得出来ないみたいね。順一に知られたら怒られるから、1分だけ戦ってあげる。それで良い?」


相変わらずの殺気を放ったまま、日本刀を取り出して、その切っ先を黒井に向けた狩野。


セーラー服に日本刀……長い黒髪という姿が、怪しい気配を漂わせる。


「そうでなくっちゃあな!強いやつと戦えないなら、東軍まで来た意味がないよな!」


黒井は、その理由で俺とも戦った。


俺には手を抜いてくれて、さらに中断したからお互い死ななくて済んだけど……ここは東軍で相手は狩野。


手を抜く事もないだろうし、中断もない。


俺以外の星5レア同士の本気の戦いが始まるのか。
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