殺戮都市~バベル~
「ぐふっ!」


踏ん張りの効かない空中で、下からの攻撃を食らった黒井が思わず声を上げる。


それでも攻撃を止めない黒井。


左手でランスを引き抜き、狩野の腹部目掛けて突き付けた。


しかしそれも、トンッと後方に飛び退いて回避したのだ。


ランスは、狩野のスカートを引き裂いただけで、ダメージはない。


暴力的な猛攻を見せる黒井と、吹雪さんよりも滑らかに流れるような動き、そして溜め込んだ一撃を放つ狩野。


激しい戦いなのに、なぜか静かな攻防に、俺や美優達は言葉を発する事が出来ない。


この狭い路地で、お互いの持ち味を殺さないように繰り出される攻撃に圧倒されて、俺はただただ魅入っていた。


着地と同時に飛び退いて、武器を持ち替える黒井。


「はっ!いい具合にセクシーな格好になったな。恥ずかしがって動きが鈍ってくれればありがたいが……お前はパンツ一丁でも戦いそうだな」


先程の攻撃で、スカートが裂かれてしまった狩野が、顔色一つ変えずに切れたスカートをつまんだ。


「恥ずかしくないわけないでしょ。でも、こんな物で勝ちが拾えるなら、いくらでも見せてあげる」


そう言った後、恥ずかしそうにスカートを捲り上げたのだ。

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