殺戮都市~バベル~
それにしても、敵同士の黒井と狩野が、どうして時間が来たからと言って攻撃を止めたのか。


あのままやれば、どちらかが勝っていたのに。


そんな事を考えながら、五人で路地を歩いていた。


「ふーん……津堂がそんな事を。まさか順一に内緒で死神を捕まえていたなんてね。相変わらず嫌な男」


俺達が何をしに東軍にやって来たか。


それを話して、邪魔をすると言うのなら、戦うしかないと覚悟していたけど……。


予想に反して、狩野の反応は津堂に対して冷ややか。


「私はこの子が死神の仲間だったって事が驚いたけどね。南軍で戦った時は、震えてるだけの弱い男の子だったのに」


「あんたねぇ、その弱い男の子に腕を斬られたのは誰よ。でも今は、あの時とは別人だよね、きっと」


俺の前を歩く美優と真冬が、チラリと振り返って話す。


「……あ、あの。何か当たり前みたいに話してますけど……俺達は敵ですよね?戦おうとは思わないんですか?」


凄く基本的な疑問。


ほとんどの人は、敵だとわかると襲い掛かって来るのに。


……まあ、遭遇した瞬間は武器を取り出していたんだけど。


黒井も、この状況が当然と言わんばかりにリラックスしてるんだよな。
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