殺戮都市~バベル~
総力戦と総力戦の谷間の時間、路地にもポツポツと人がいる。


ステルス機能がまだ生きているから、特に不審がられる事もなくビルに到着した。


階段を駆け上がり、二人がいるはずの部屋の前。


コンコンとノックをして、ゆっくりとドアを開けた。


「……亜美?優?いるのか?」


部屋の中は……暗い。


やっぱり、10日間も戻って来なかったから、移動したのかな。


「そうだよな……いつまでも待ってるわけないか」


守るだなんて大きな事を言ってみても、結局は津堂に殺されて、二人だけにさせてしまったんだ。


ここに来た時は綺麗な部屋だったのに、今は結構な生活感にあふれている。


何日か前までここにいたと、床やソファを見て感じ取る事が出来るよ。


「はぁ……どこに行ったんだろ。無事なら良いけど」


ソファまで歩いて、溜め息を吐きながら腰を下ろした。


深く身を沈めて、床に置かれた弁当の容器に目をやる。


大きな容器と小さな容器。


それが山のように積み重なっていて……。


「全く……ゴミくらい捨てろよ」


と、俺が呟いた時だった。











「だーれだ?」











背後から俺の目を隠し、耳元で誰かがそう呟いたのだ。
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