殺戮都市~バベル~
この声、この手の大きさ……。


「優、まだいたのか。てっきり俺はどこかに行ったとばかり……」


「バーカ、本当に出て行こうかと思ったよ。もう、お弁当を買うお金もないしさ」


それでも、ずっと待っていてくれたんだな。


いないと思ったから、凄く安心したと言うか……嬉しい。


「ほら、亜美ちゃん!お兄ちゃんにお仕置きしなさい!」


「うん!」


優に促され、亜美の元気な声と、足音が聞こえる。


お仕置きか。


長い間戻って来なかったから、それくらいされても仕方ないかな。


目を隠されたまま、一体何をされるのかと、笑いながら待っていると……。











「えいっ!」










という声と共に、全身を駆け巡る衝撃!


声も出ない!


ただ、腹の中を握り潰されるかのような強烈な痛みに……俺は、悶える事しか出来なかった。


離れる優の手。


俺の目に映ったのは……ハンマーを握り締め、俺の股間に一撃を加え終わった後の、無邪気な笑みを浮かべる亜美の姿だった。


「そ、それは……ダメだろ」


殴られただけでも死にそうになるのに、まさかハンマーでやるとは……。


とんでもないお仕置きだった。
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