殺戮都市~バベル~
俺がまともに話が出来る状態になったのは、それから五分が過ぎた頃だった。


女にはわかるまい……この殺人級の痛みは……。


「お兄ちゃん、ごめんね。痛かった?」


絶対にこれ、優が教えただろ……。


こんなに悶える事がわかってたら、優しい亜美は絶対にしないはずだ。


「お、おのれ……優め!」


「いやいや、なんで私なのよ?やったのは亜美ちゃんでしょ?」


「お前が教えたんだろうが……あー、くそっ!」


ソファに横になり、背中をトントンと叩く。


一瞬世の中の全てを恨みそうになったけど、それを過ぎるともうどうでも良くなって来た。


「それで?どうしてこんなに戻って来なかったの?もしかして……死んじゃった?」


遠慮を知らない優の言葉が、俺にグサグサと突き刺さる。


「……お、思った以上に強かったんだよ。恵梨香さんを助けるくらいなら出来ると思ってたけど……そんな甘いもんじゃなかった」


何も出来ずに、逃げ出すしかなかった。


それすらも香月に阻まれて、出来ずに死んでしまったわけだけど。


あれから……少しは強くなったと思う。


黒井もいるし、狩野達も協力してくれる。


次こそは……恵梨香さんを助け出す。
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