殺戮都市～バベル～
結局……あれから優が何かを要求する事はなくて、亜美の世話をしてくれていた疲れが溜まっていたのかな？


10分もすると寝息を立てて、眠りに落ちたのだ。


人を抱いて寝るという安心感を知ってしまったから、出来ればずっとこうしていたいという欲が出てしまうけど……。


ゆっくりと優の首の下にある腕を抜いて、俺はソファから足を下ろして立ち上がった。


優も亜美も眠っている。


黒井達はデパートの偵察。


俺だけ何もしなくて良いのか？


準備が出来ているなら、今すぐにでもデパートに向かいたいのに、こんなに焦らされるのは初めてだ。


窓の外には路地。


多くはないにしても、人が歩いていて、こんな街でも必死に生きているんだろうな。


戦闘が始まれば、武器を手に取って南軍に向かったり、攻めてくる北軍と戦ったり。


そしてソウルがなくなれば、復活する事も出来なくなって死んでしまうんだ。


生きる為には、人を殺すか、誰かに金や食料を貰うしかない。


まあ、三笠のように雑草を食べて生き長らえるという手もあるけど。


そんな事を考えながら、ぼんやりと外を眺めていると……。










俺の目に、どこかで見た事のある人物の姿が映ったのだ。
< 599 / 1,451 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop