殺戮都市~バベル~
「ん?あれは……どこかで」


はっきりと、誰だとはわからない。


どこかで見た事のある男が、南軍の壁の方から歩いて来ていたのだ。


手にはコンビニ袋。


多分食料が入っていて、今から食事なのだろう。


いや、そんな事はどうでも良い。


問題は、どこで会ったかと言う事。


東軍の人間と出会うなんて、総力戦の時しかないけど、その中でも俺にとって何か重要な人物のような気がする。


「思い出せ……いつ、どこで出会ったんだ」


一番最初の総力戦で出会った男達か?


それとも、吹雪さんに助けてもらった時に集団で攻めて来ていたやつらか?


いや、そんなどうでも良いやつらじゃないよな。


そう考えている間にも、男はビルの前を通り過ぎる。


考えていても答えが出ないな……。


亜美と優、二人を見て、俺は部屋を飛び出した。


早く行かなければ、男を見失ってしまうかもしれないから。


階段を駆け下りてビルを飛び出した俺は、男が歩いて行った方向を向いた。


もういない!?


いや、自軍にいるのに、突然走り出したりするはずがない。


と、なると……そこの交差点!


急いで駆け寄った俺は、すぐに左右を確認して……男を見付けた。
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