殺戮都市~バベル~
その女性に、小さく何度も頷く。


敵軍の人間なら、山口を殺したみたいに、俺や奈央さんを殺すのだって何の抵抗もないはずだ。


それこそ、「死にそうなやつを見付けたから殺しちゃった。イェイイェイ!」とか言いそうだし。


例え、俺が見たあの人が、この女性の探している人と違ったとしても、その情報を聞き出すまでは殺しはしないはず。


「え!?本当に知ってるの!?良かったあ!三日前にはぐれちゃってさ、サーチにも引っかからないし、通信機能は他軍だから使えないしさ、もう泣きそうになってたんだよぉ」


……よく喋るな、この人。


俺は死にそうになってるってのに、その心配はなしか。


「って、まだ話せそうにないね。ごめんごめん。よし、傷が治るまで、私が二人を守ってあげよう。あ、ところで二人は何?付き合ってんの?」


……本当によく喋るなこの人は。


俺は首を横に振り、それを否定すると、女性はガッカリした様子で首を傾げた。


「なぁんだ。まあ良いや。ほら、傷も塞がり始めてるし、もうすぐ話が出来るくらいにはなるよ。二人とも頑張れ頑張れ!」


身体を上下に揺すり、俺と奈央さんを応援する。


……目の前で揺れる大きな胸は、目のやり場に困るけど。
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