殺戮都市~バベル~
『戦闘が終了しました。なお、30分後に洗浄を開始しますので、屋内に避難してください』
PBMからそのアナウンスが流れたのは、俺の胸の傷が塞がった頃。
奈央さんの傷はほとんど癒えて、俺の傍にいる北軍の女性を警戒しながらPBMを操作していた。
「あらら、今日は洗浄日かぁ。しばらくは動けそうにないね、こりゃ。ま、良いか」
洗浄日って何だろう?
アナウンスからすると、外にいてはいけないって事なんだろうけど……。
「……雨村吹雪。賞金首ランキング、北軍【4位】、総合【7位】……そんな人が、どうしてこんな場所に」
戦っても勝てない。
明らかな実力の違いに、武器を取り出す事すらしない奈央さん。
雨村吹雪……この人が本気になれば、俺達なんて一瞬で殺す事が出来るだろう。
「だから、はぐれた友達を探してるの。一緒に南軍に入ったまでは良かったんだけどねー。やたら強いやつと戦っちゃって、離れ離れになったんだよねー。それよりどう?もうそろそろ喋れるんじゃない?」
なんだか……敵と話してるって感覚じゃないんだよな。
凄くフレンドリーというか。
この街で、こんな人がいるなんて思わなかった。