殺戮都市~バベル~
意外な物で、恵梨香さんも神谷もあっさりと俺の作戦に乗ってくれた。


善は急げとばかりに立ち上がり、店を出た俺達。


下手に作戦を考えた所で意味はないのだろうという事は、二人を見ていて理解した。


地下から出ると、もうルークの姿はなくて、遠くで微かに地鳴りが聞こえる程度。


ルークがどこにいるのかと、大通りに出て確認してみると……いた。


北軍の中心地の方に向かって、巨体を揺らしながら歩いていたのだ。


「良い場所に向かってるじゃないか。運も我々に味方をしているか?」


恵梨香さんがルークの姿を見ながら、フフッと笑う。


この作戦は、もしかしたら本当に上手く行くんじゃないのかと思ったけど……神谷は難色を示していた。


「こいつは……思ったよりも厳しい戦いになりそうだな。見てみろ、あんな化け物が歩いてるってのに、誰一人として外に出て確認しようってやつがいない。これが北軍の統率された動きってわけだ」


確かに神谷の言う通り、外に出ている人間はいない。


ルークが現れてすぐに、下っ端にまで指示を出したのだろうか。


俺が考えているよりもずっと、北軍を攻めるというのは容易ではないのだと、この時思い知らされた。
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