眠りにつくその日まで
「健太くんも食べた龍角散でしょ?お母さんもらっておけば?」
この前のことを知っている夏子もいたずらっぽく笑う。
「うわー妹にからかわれてる私ー!」
「健太って誰だ?」
お父さんが厳しく言う。
「た、ただのクラスメイトだよ!風邪ひいてんの!ほらお父さん、もう出ないと遅刻しちゃうよ!!」
私は慌ててごまかした。
お母さんはフフフと笑う。
「ほら、夏子も春子ももう出なきゃ。気をつけて行ってらっしゃい。」
お母さんに促されて3人で玄関に向かう。
「あ、お母さん!ほら、甘いほうだけどあげる!」
私はカバンから、新しく買ったお気に入りの飴を母の手に握らせた。
そして、行ってきます、と連れ添ってドアを出た。