眠りにつくその日まで
「検死…?」



「…うん。ほら、なんの前触れもなく若い子が……」


そこまでいうと、美羽のお父さんは言葉をつまらせた。


辛そうに顔を伏せると、少し涙ぐんだ目でごめん、と言うと続きを話始めた。


「急にね、若い子が死んでしまうのは事件かも知れないからね。朝は救急車と警察官が来てなかなか大変だったんだ。外傷も遺書のような物もないから事件性はないけど、一応検死はしなくちゃいけないらしいんだ。困っちゃうよなハハ。」



美羽のお父さんは泣かないようにか、そうやって一気に話した。


その様子に、私はあまりに心が痛くて、堪えようとした涙も次々と頬に流れていった。





美羽のお父さんは、上がっていってお茶でも、と言ったけど、美羽いないそんな心苦しい空間に私は一人でいられる気がしなくて、丁重にお断りして家路についた。

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