眠りにつくその日まで
家に着いてからも、私はただ塞いでいた。



美羽の死を家族に話すと、みんなショックを受けていた。


ただ、私はまだその気持ちを分かち合うような気にはなれなくて、すぐに自分の部屋に引っ込んだ。




写真フォルダは、美羽との写真で溢れている。




やけに目が大きくて可愛くなってるプリクラ、

一緒に撮った変顔、


大はしゃぎしている動画、

美羽が気づいてない瞬間に撮った横顔、

女子を気取って一緒に食べたスイーツ……



楽しい思い出ばかりだった。



喧嘩もした事もあるけど、それを上回る位、美羽とは笑ってばかりいた。



私の高校生活は美羽で彩られていた。



美羽がいるから、毎日が楽しい。



いや、楽し、かった、になってしまったんだ……





止まっていた涙がまた溢れ始める。




昨日のLINEは、美羽の「明日の体育ってなんだっけ?」終わっていた。


昨日の私は、先に寝てしまった。


返事を出したかった、とただ後悔した。


それよりも何よりも、どう考えてもこんなLINEを送ってきた美羽が死ぬのはありえない。



嘘だとしか思えない。




まだ、美羽の遺体を見ていない私は夢現で、ただ美羽がいないという言葉に苦しめられながら何度も妄想と回想を繰り返して泣きながら眠りについたのだった。
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