眠りにつくその日まで
私と夏子が言う"あの言い伝え"というのは
本条家の第一子が女の子だと早死する、と言う話だ。
私は長女でお兄ちゃんは、いない。
つまり言い伝え通りの、第一子で女の子な訳だ。
早死にするなんて、そんなの迷信だと夏子も友達も馬鹿にするし、私も表面上はそう思っている。
でも、子供の頃に聞いてしまったその話は私の心の底に深くこびりついて離れていない。
呪いのように、ふと頭をよぎる。
明日死んでしまうような、そんな気がしてきて泣いてしまう夜さえある。
そんな私に、お母さんはよく言うんだ。
『辛くても、今生きていることが一番の幸せなのよ。』
と。