眠りにつくその日まで
生きているだけで、幸せ。
死にゆく人を目の前にしたらそう思うかも知れない。
ただ生きているだけの私には、まだそんな実感はなかった。
夜空を見上げたままの私は少し首が痛くなってきた。
先ほどから、あー!と二人で言い合って何個もの流れ星を見ている。
夜全体を見るのは意外と難しくて、夏子が見ても私が見られなかったり、私が見ても夏子が見られなかったりする。
「ねぇ夏子、何個見た?」
「23個!!すごくない!?」
「すごい!私19個だよー。やっぱり夏子は目がいいねー。」
「19個でもすごいじゃん!私こんなに見られると思わなかった!」
首痛いけど、と笑う夏子。
首痛いね、と私も笑いながらまた空を見る。