お隣さんは意地悪センセイ!




「お前ら、俺の女に随分好き勝手言ってくれんじゃん……二度と見れねぇツラにしてやろうか?あ?」



目の前に立った長瀬は今まで見たことのない
かなり怒った表情。

声色は酷いぐらい低く、淡々と言う言葉は逆に怖かった。



「な、何だよ光輝、俺らは別に軽い気持ちで言っただけで……」



「は?その軽い気持ちでコイツは傷ついてんだ!お前らみたいなクソに結芽の何がわかんだよ!次、俺の女に傷つけるようなことしたら…ブッ殺す」



長瀬はそう吐き捨てて、あたしの腕を掴んで食堂を出た。



長瀬くんよ……

いくら付き合っているとはいえ、偽装なのに
そこまで言うサービスしてくれなくても……


でも、スッキリしたのは事実だった。



「長瀬っ、ありがとね。嬉しかった…」



「……別に、お前のためにじゃねぇし。ただ、アイツらがムカついただけ」



あたしを庇うように前に立った長瀬の背中は大きかった。

もちろん、あたしなんかより背が高いのはわかってたけど…なんか……男の人なんだな…って改めて思ったよ。


それに、どさくさに紛れて"結芽"って呼んでたし……

偽装のため、不自然にならないよう名前呼びしてみる?なんてあたしが適当に言ってただけなのに。



あの場面で、名前を呼ぶなんて……


ドキッとしたじゃん、バカ。



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