お隣さんは意地悪センセイ!



長瀬はあたしを一瞥して、颯爽と廊下を歩いていく。


そんな長瀬をあたしは慌てて引き止める。



「長瀬っ、待って!さっきのはいくらなんでも言い過ぎだよ!早く鈴香先生に謝りに…」



長瀬はピタリと動きを止める。



「あたしも、櫻木先生のこと好きだから…長瀬の気持ち分かるよ……でもさっきのは」



あたしの言葉に振り返った長瀬は近づいてきたと思えば、あたしを壁に追いやった。



「……俺の気持ちが分かる?はっ、笑わすな。お前みたいな軽い気持ちで好きなやつが俺の気持ちと一緒にすんなっ!」



バンっとあたしの顔の隣に片手をついた長瀬。


あのときと同じ、食堂であたしを守ってくれたときと同じ鋭い瞳。

でも、どこか悲しそうで……


長瀬はあたしから離れると足早に行ってしまった。




『俺の気持ちと一緒にすんなっ』


そりゃそうだよね……あたしなんかの気持ちと一緒にされたくないよね



「でも、あたしだって……」



長瀬を元気付けたかっただけなのに。


武田にも、長瀬にも櫻木先生への気持ちは否定させるし

何もかもが空回り。



どうしてこうなっちゃうの……




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