お隣さんは意地悪センセイ!
「す、スーツお、お似合いです…っ、か、髪型もいつもより整ってて……」
いつもよりって何だ、いつもよりって。
高梨は下を向いたまま、ボケーっとしていた。
また、変な妄想でもしてるんだろう。
懲りないやつだ。
「わかってると思うが、今日は先生と呼ぶな。バレたら厄介だ、親戚の設定にしてある」
俺の声にハッとした高梨は嬉しそうに目を輝かせた。
「じゃあ、櫻木先生のことアキちゃんって呼んでいいですかっ!?」
「………窓からほり投げられたいか」
誰だ、アキちゃんなんてあだ名をつけたヤツ。
よりにもよって、生徒にその名を呼ばれるなんてほどの屈辱はない。
「あたしのことは結芽って呼んでくれて構いませんから!」
誰が呼ぶか。
「わ〜楽しみだね!アキちゃん!」
しばくぞ、アホが。
「調子にのるな。式場で目立つことをしたらその場に捨てていくからな」
「は〜い、アキちゃん」
口元緩みすぎた。
ヘラヘラしやがって。
拷問以外の何物でもない。