お隣さんは意地悪センセイ!
「……は?俺みたい…って」
「俺も、君と同じようなことがあった。昔、付き合ってた人に急に結婚するからってあっさり
捨てられた」
こんな話、生徒に聞かせるなんて俺はどうかしてるんだろうな。
「いきなり現れた男に持って行かれて腹立たしいとかそんな感情よりも、今の俺じゃ彼女を守れないと思い知らされた。ガキだったからな。そりゃ、負けるよな」
思わず自嘲してしまう。
どうしてもあの頃は青臭いガキで、見栄ばっかり張っていた。
「何の根拠もないのに、彼女を幸せにするのは俺だって思ってた。バカみてぇに夢描いて」
ずっと一緒にいれると思ってた。
でも、それは俺だけで。
彼女はそうじゃなかった。
「結局、結婚式には行かなかった。それどころか、おめでとうすら言ってない。すげぇ後悔した。何で祝ってやれなかったのかって」
もう、会わなくなって8年。
どうしてるかなんて今更気ならねぇけど、やっぱり後悔だけが胸に残る。
「気持ち、まだ言ってないんじゃねぇの?ちゃんと言葉にしないと後悔するぞ…」