お隣さんは意地悪センセイ!
「何か…こういうのいいですよね。鈴香先生幸せそう……」
高梨は両親を前に涙目で手紙を読む鈴香先生を優しく見つめる。
「あたし……物心ついたときにはお父さんいなくて…生きてるのかそうじゃないのかも知らないんです!お母さんはあたしの為を思ってはぐらかしてるつもりなんだろうけど……本当はどんな人なのかも色々知りたいのに…」
最初は明るい笑顔を見せていた高梨だったが薄暗いなかでもわかるぐらい切ない目をしていた。
「あたし、バージンロードをお父さんと歩いて入場するのが夢だったんです。でももう……叶いませんよねっ!」
何故そんなに明るく振舞うのか。
何も俺の前で強がらなくてもいいのに。
わかりやすいよ、本当。
「じゃあ、高梨さんの結婚式、お父さんの代わりに歩いてあげる」
思わぬ言葉に高梨は目を見開く。
そして、柔らかく笑った。
「それは……嫌です」
あまりにも清々しい笑みに何も言えない。
あっそう……結構本気で言ったつもりだったけどな。
「だって、櫻木先生が……旦那さんとしてその隣で歩きたいんだもん」
頬を赤く染め、今にも泣きそうな瞳で高梨は笑った。