お隣さんは意地悪センセイ!
相変わらず帰りの車もやけに静か。
エンジンの音とカーナビの音声のみ。
チラッと高梨の横顔を伺うと、ちょうど俺を見ていたらしく目が合う。
「わっ、わぁ!?」
俺と目が合うなんて予想していなかったらしく、高梨は素っ頓狂な声を上げる。
いちいち何だっていうんだよ。
もう一生、横見ない。
そう、ハンドルを強く握ると
高梨は遠慮がちに口を開いた。
「あ、あの……先生。あ、あたしのこと…ゆ、ゆゆゆ、結芽って……呼んでくれました、よね?」
ギクっと動揺でハンドルを握る手がおかしくなる。
「……何言ってんの。呼ぶわけないでしょ。」
やっぱり聞こえてたか……
咄嗟とは言え、名前を呼んでいたのは不覚だった。
あそこで名字で呼ぶのも怪しまれるだろうし、不可抗力だ。仕方ない。
「で、でも!世界の中心で愛を叫ぶ、ぐらい叫んでましたよね!?」
何だ、その例えは。