お隣さんは意地悪センセイ!
どこからか、先生ー!!と言う叫び声が聞こえたが気にすることなく駐車場に向かう。
車を発車させ学校に向かう中、俺はこのマンションに住むことになった経緯を思い出していた。
それは今の学校に赴任してくるちょうど数週間前。
自宅に届いた賃貸借契約の更新手続きの紙。
そろそろそんな時期か、と思っていたときにいきなり母親から電話がかかってきた。
「アキちゃん、いい物件あるんだけど!」
母親の話によると家賃、光熱費0円だという。
都内のマンションでそんないい話があるのかと最初は疑問に思ったが、案の定それが後々後悔することになるとはまだこのとき知る由もない。
今住んでいるデザイナーズマンションは中々気に入っていたが別の学校に赴任することが決まり引っ越そうか考えていた。
丸テーブルの上には"櫻木先生ありがとう"と大きく書かれた色紙や手紙が山のように溢れている。
『櫻木先生との思い出は一生忘れません!』
パラパラめくるとそんな文字が目によくついた。
一生、って大袈裟でしょ。
つーか、出会って1年しか経ってないのに。
忘れない?
どーせ、感傷に浸ってんのは今だけで
数週間後には忘れてんだから。
人間って、そんなもんでしょ?