今しかない、この瞬間を
*:.。. 1. 白馬の王子様は地下鉄に乗って

*:.。. 1.



出勤するまでにはまだ時間があるのに、目が覚めてしまった。

と言っても、そろそろ7時半。

前の会社だったら、もう家を出ないと、遅刻ギリギリになってしまう時間なんだけど。


今日からお世話になる新しい職場は、総合スポーツクラブ。

先月まで勤めていた典型的なオフィスとは違い、3交替のシフト制を採用している。

今日から1週間は10時から勤務の「中番」で、研修も兼ね、一通り、基本的な業務を学ぶ予定だ。


特に経験もないのに、業種も内容もガラッと違う仕事に就くことができたのも、きっと何かの縁。

気分一新、フレッシュな気持ちで頑張ろうと思う。


とりあえず、「カタチから入る」じゃないけど、きちんと朝食を摂って、少し早めに家を出た。

駅まで10分ちょっとの道のりを歩くと、それだけでも背筋がシャキッとするような気がして、気持ちがいい。


だけど、清々しい気分でホームに並んでいたら、到着したのは予想をはるかに上回るギュウギュウ詰めの満員電車。

ピークの時間帯は過ぎているはずなのに、この状態だ。

これからあの中に身を委ねることになるのかと思うと、少しだけテンションも下がる。


にしても.......

うわっ、すご。やだなぁ。

そう思ってるのは、みんな同じだろう。

だけど、嫌でも毎日続くことだ。

イイ大人が、このくらいのことで、いちいち文句を言ってちゃいけない。
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