今しかない、この瞬間を
さぁ、でも、そろそろ気持ちを入れ替えなくちゃ。

もうすぐみんなが来る時間だ。

悩んだところですぐに答えは出ないんだから、いつまでもクヨクヨしている場合じゃない。


今日は、待ちに待ったタコ焼きパーティ。

って言っても、実家から持って来た小さなタコ焼き器で、ちまちま焼きながら飲むだけなんだけど、4人でいると楽しいし、彼の笑顔もたくさん見られる。

嫌なことは忘れて、いっぱい盛り上がって、ぱ~っと明るく行きたい気分だ。


ちなみに、薄っぺらいお刺身と酢漬けのタコしか近所のスーパーには置いてなかったから、残念ながら本日のタコ焼きにタコは入っていない。

代わりにウインナーやらチーズやらキムチやら、それぞれが好きなものを入れて焼くスタイルに変更。

締めにはホットケーキミックスで、小さな丸いケーキを焼く予定だ。


お酒やらおつまみやらは、里菜ちゃんと毅くんに頼んである。

楽しいことが大好きで賑やかな二人だから、何か面白いものが登場しそうで、ワクワクする。


二人が来る前に、彼が準備を手伝ってくれるって言ってたから、もう来る頃かな。

そう思っていたら、ピンポーンとチャイムが鳴った。


思えば、彼にチャイムを鳴らしてもらうことにも、だいぶ慣れて来た。

ドアを開けると現れる、ヤンチャな子供みたいな微笑みにも、この部屋の中で二人きりで過ごすことにも。


最初はあんなにドキドキしていたのに、今では一緒にいると心が和む。

もっとも、今日に限っては、新たに出現した別の感情が、どうしても付き纏ってしまうけど。
< 104 / 148 >

この作品をシェア

pagetop