今しかない、この瞬間を
そう考えると、チャラいのも、そう悪くはないのかもしれない。

というか、前々から感じていたけど、チャラいと言っても、彼は俗世間に蔓延るいわゆる典型的な「チャラ男」とまでは行かないタイプなんじゃないかと思う。


軽いけど、おかしなことは言ってないし、決して人に不快な気持ちは与えない。

バカっぽくて見ていてイラつく、みたいな印象だって、特に感じさせない。

雰囲気や喋り方でそう取られることも多いと思うけど、本当の中身は温かくて、しっかりした人なんじゃないかな.......


なんて、ついつい、自分に都合の良い解釈をしたくなる。

だって、近くで見ると、すごく優しい目をしてるんだもん。

一緒にいて和むし、ドキドキ感は薄くなったと言え、可愛く微笑まれると、やっぱりキュンとしてしまう。


何だかんだ言って、「好き」って思う気持ちは消えてないんだよね.......?


初の同伴帰宅は、そんな自分の気持ちに自信を持つ方向に進んだと思う。

最初は疑問に思っていた彼の悪いイメージだって、気付けば、どんどん気にならなくなっている。


このまま一緒に過ごす時間が増えていったら、丸ごと全部、彼を好きになっちゃうのかな。

本当にそうなったら、きっと、今より、もっともっと幸せな毎日が待っているに違いない.......



「どこにしようか? やっぱ、ちょっと飲みたいよね。」

「うん、いいね。」

「せっかく女の子と一緒だから、野郎とは行かなそうなとこがいいかな。」

「でも、うちの近所に、そんなお洒落な感じのお店ないでしょ。どこでもいいよ、居酒屋でもいいし。」

「そう?」

「うん。」
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