今しかない、この瞬間を
よく見ると、インストラクター以外にも、「各クラブフロントでの受付業務」の募集が掲載されている。

お給料もまぁまぁだし、契約社員になれるらしい。


これなら私もにできるかもしれない。

何より、今の気分にぴったりだし、このタイミングで募集記事に出会えたことにも運命を感じる。

元々、スポーツは見るのもするのは好きだし、ここなら明るい気持ちで仕事に取り組むことができるんじゃないかな.......


その直感は当たっていた。

配属が決まり、挨拶をしに行った段階で確信した。

本社でも笑顔の人ばかりだったし、当たり前だけど、みんな健康的。

よし!! これならイケる!!

これから此処で頑張ろうという気が、自然に沸き起こって来た。


そして、さらに、そんな高めのテンションの中、初日の通勤電車で、私は王子様に出会った。

最初に感じた優しくて誠実なイメージは、ちょっとずつハテナマーク付きに変わって行ったけど、こんなに短期間で、ここまで誰かを好きになったことは初めてだ。


一筋縄では行かない相手ではあるけど、それでも簡単には諦められない。

手に入らないくてもいいから、そばにいたいなんて、少女マンガのヒロインみたいなことを、今は本気で思っている。


しかも、あろうことか、彼はすぐそこに住んでいる。

偶然とはいえ、信じられないような縁続きだ。


最初、彼との出会いは神様がくれたラッキーだと思ったけど、ここまで条件が揃うと、運命のイタズラにも程があるんじゃないかと思えてしまう。

まぁ、もちろん、そのイタズラには、感謝せざるを得ないんだけど。
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