今しかない、この瞬間を
そう思ってしまえば、人と付き合うのも気が楽になる。

その時、その時を楽しく過ごせる仲間が、そばにいてくれれば、それでいい。

同じ目標を持った部活の仲間とは、気持ちが近い分、何でも分かり合える気がする。

だけど、それ以降、女の子と付き合うのは面倒になって、俺の高校時代は、結局、部活一色で幕を閉じることになった。


国立へも一度は行けたけど、二回戦で敗退した。

だから、大した成績は残せていないはずなのに、高三の冬、俺に再び、朗報が入って来た。


部活に夢中になり過ぎて、受験勉強を疎かにして焦っていた俺に、ありがたいことに推薦入学の話が来た。

でも、もうサッカーで叶えたい夢もないし、正直、そろそろ辞めてもいいかなと思っていたから、相当迷った。


だけど、推薦入学の条件は、寮生活を強いられる名門サッカー部への入部。

冷静に考えたら、これで堂々と親元を離れることができる訳だ。


だったら、俺にとっても、新しい親父と母さんにとっても、それが一番いい。

そう思ったら、すぐ決断できた。

少年団を指導していた新しい親父は、名門サッカー部への入部をとても喜んでくれたし。


そんなこんなで、本意ではなくとも、俺のサッカー人生は続いて行った。

やるからにはそれなりに努力はしたけど、もうそんなに欲もないから、体育会の熱い雰囲気に、四年間、何となく流されてるみたいな感じではあったけど。


なのに、驚くことにさらにラッキーは続いて、引退試合を迎える頃、何故かプロのチームからお誘いがかかった。

ここまで来ると、サッカーを続けるよう、天国の親父に仕向けられてるんじゃないかと思ってしまうくらいだ。
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