Different Real
神尾くんがいつも通り笑う。
私の話を聞いて、本当に楽しそうに笑う。
踏み込んだら離れて行っちゃう?
もう笑ってくれない?
今日は朝からずっとそんなことを考えていた。
「......どうかした?」
「えっ...」
真顔で、少し心配そうに首を傾げる神尾くん。
言っていいことなのか、分からない。
神尾くんと話せなくなったら、って考えたらこわい。
「えっと......」
言葉が出ない。
うまく誤魔化すことも今さら無理そう。
「やっぱり話しかけられるの迷惑?」
「違うよ!」
違う、そうじゃない。
思わず俯いてしまう。
どうしたら......。
「榎本、次サボろ。」
「え......」
顔を上げると神尾くんは席から立ち上がり荷物まで持ってスタスタと教室から出ていく。
ま、待って...うそでしょ!
思わず荷物を抱えて神尾くんを追いかけた。