Different Real
「やっぱり屋上なんて開いてねーよなぁ」
屋上に繋がる扉の前で「うーん...」と唸る神尾くん。
本当にサボってしまった!
初サボり......。
「まぁいっか、ここで。」
そう言って彼は扉の前にストンと腰を落とした。
私も少し間を空けて隣に座る。
机がないのとではまるで距離が違う。
ドキドキと鳴る心臓がうるさい。
「で、なに隠してんの?」
静かに響く神尾くんの声がいつもより低く聞こえる。
「か、隠してるっていうか......。その、神尾くんのこと何も知らないなって思って...」
「俺のこと?」
2人だけの空間のせいか、それとも控えめに話す声のせいか、素直に口からこぼれ落ちた。
コクンと静かに頷いてから俯く。
「お家のこととか、お友達のこととか、いつも私の話で神尾くんの話、聞いたことなかったから...」
踏み込んでよかったのかな......。
今さら不安になって顔が上げられない。
「3人家族。」
「え?」
「家族。俺と母親と親父。友だちは高校では榎本だけ。幼馴染みが2人いる。こいつらとは今でもよく遊ぶし仲いいよ」
淡々と自分のことを話す神尾くんがチラッと私を見た。
ドキッ