Different Real
俺の目の前に立ちはだかる父親はいつもと少し違って見えた。
「あなたの......あなたのせいで人生めちゃくちゃよ!!」
母親はそう叫んで部屋をバタバタと出て行った。
なんだったんだ。
俺はまだ生きてるのか。
そうか、死んでないんだ......。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「ごめん、ごめんな......。怖かったよな...。」
俺を抱きしめて肩を震わせたのは父親だった。
昔のように、優しく、抱きしめてくれた。
自然と涙がこぼれ落ちた。
生きたかった。
死ぬのなんて怖い。
大好きな人に殺されるのは辛い。
一緒にがんばろうって言ってほしかった。
抱きしめてもらいたかった。
俺は、お金なんていらないから、、、
「うぁっ.........」
............?
俺を抱きしめていた父親が小さくうめき声をあげた。
ずるりと倒れ込んだ父親の背中からは血が流れていた。
なにが、起きてる............?
顔を上げると、すごい形相の母親が赤く染まった包丁を握り締めていた。
「あ、あなたさえ、いなければ...!」
「やめて!!!!!!」