Different Real


俺の目の前に立ちはだかる父親はいつもと少し違って見えた。

「あなたの......あなたのせいで人生めちゃくちゃよ!!」

母親はそう叫んで部屋をバタバタと出て行った。

なんだったんだ。

俺はまだ生きてるのか。

そうか、死んでないんだ......。

頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「ごめん、ごめんな......。怖かったよな...。」

俺を抱きしめて肩を震わせたのは父親だった。

昔のように、優しく、抱きしめてくれた。

自然と涙がこぼれ落ちた。

生きたかった。

死ぬのなんて怖い。

大好きな人に殺されるのは辛い。

一緒にがんばろうって言ってほしかった。

抱きしめてもらいたかった。

俺は、お金なんていらないから、、、






「うぁっ.........」






............?


俺を抱きしめていた父親が小さくうめき声をあげた。

ずるりと倒れ込んだ父親の背中からは血が流れていた。

なにが、起きてる............?

顔を上げると、すごい形相の母親が赤く染まった包丁を握り締めていた。

「あ、あなたさえ、いなければ...!」








「やめて!!!!!!」











< 20 / 40 >

この作品をシェア

pagetop