Different Real
放課後、神尾くんの家に着くまでなんで家に誘ってくれたのかなにも教えてくれなかった。
「ねぇ、そろそろ教えてよ〜」
さっきのさっきまで神尾くんは「ちょっとね」としか言ってくれなかった。
家にも着いたし、そろそろ教えてほしい。
気になりすぎて辛い!
「実は今日、杏璃の誕生日なんだよね」
「え!杏璃ちゃんの!?」
「そう。陸が誕生会しようって張り切ってるんだけど、榎本も誘えってうるさくて。ごめんね」
「ううん!全然!嬉しいよ、ありがとう!」
友だちのお誕生会に参加するなんて!
どきどきと嬉しさでおかしくなりそう!!
高鳴る胸を抑えて、なにをすればいいか神尾くんに相談しようと振り返ると神尾くんは口に手を当て俯き、肩を震わせていた。
え、笑ってる...?
「ど、どうしたの?」
「いや、あまりに嬉しそうに笑うから...ちょっとおもしろくて...」
お、おもしろかったの...?
そんなに喜んだ顔してたのかな!?
急に恥ずかしくなって思わず俯く。
「わ、笑わないでよ!」
パシッと神尾くんの肩を叩く。
「陸が杏璃をうまく引き止めてくれてるから、俺らは準備しよ」
やっと笑いが治まった神尾くんがうっすらと浮かべた涙を拭いながら言った。
涙流すくらい笑うって...。