彼の優しさ
捨て猫の子猫
side 西原 祐
授業は空いていて、昼休みを挟んだ5時間目の準備をしているとこきだった。
みー
(─?何か聞こえたような…)耳を澄ましてみると
みー
(また?なんだろう?)声がする方に目線を向け薄汚れて鳴いている子猫がいた。
(子猫?なんでこんなところに…?取り合えずもう少しで昼だし、祖父さんに頼んで少しだけ抜けさせて貰って、獣医に連れていこう。)
祖父はここの理事長だし大丈夫だろ。と思って子猫を保護した。
「祖父さん?俺。祐だけど。」
『どうした?用が有れば来れば良いだろ?』スマホを通して祖父さんの堅くしわがれた声が聞こえる。
「いや、そっちに行くのは若干不味くて。…実は、敷地内で子猫が居たんだ。獣医に連れていくから、許可が欲しくて。授業までには帰るし、駄目か?」
『分かった。守衛にはわしから伝えておく。寄り道するなよ。…後、子猫を飼いたい、なんて言うなよ。祖母さんが嫌がるから。』…やっぱりか。
「引き取ってくれる人は俺から生徒に聞いてみる。じゃ、ちょっと行ってくる。」子猫を獣医に診てもらう為に敷地を出た。
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