彼の優しさ
side 西原 祐
ケーキをパクパクと食べる藍ちゃん…昔、おやつとしてプリンをパクパク食べていた時と重なった。
……やっぱり藍ちゃんは藍ちゃんだった。
今と昔を比べて相当違かったから少し不安な部分もあった。
俺は一息つく為にゆっくりとコーヒーを飲んだ。
…うん。美味い。
「言えなかったのは仕方無いです。私だって先生と同じ立場なら同じ事をやったと思います。」
「ありがとう。」さて、言わなきゃいけないことは1つ言った。…最も言わなきゃいけないことはまだ残ってる。…だけど勇気が出ない。
コーヒーカップを持とうとして右手を出したら手が震えていた。
──情けない。
思いっきり手を固く握るとゆっくりと深呼吸をして気合いを入れた。