彼の優しさ

藍が家の住所を教えてくれて、車のナビ通りに行くとマンションが見えてきた。

「駐車場、何処を使えばいい?」と聞くと

「マンション横にある立体駐車場」と答えてくれたから駐車してマンションの中に入り、藍の部屋へと行った。

「お邪魔します。」

「えっと…あ、アズサ」リビング?に続く扉にある15㎝位のガラスの向こうからじーっと興味津々に見ているアズサが居た。…でかくなったな。

アズサは縦にみょ~んと伸びるとドアノブに前足を引っ掛けて、器用にドアを開けた。

「アズサ…また?…柵買った方がいいね。」後半は独り言なのかボソボソっと言った。

俺はしゃがんでから

「久しぶりだな。アズサ。」そう言うとアズサはふり、と尻尾を振ってリビングらしき部屋に戻っていった。

藍に案内されて手を洗ってからアズサが出入りしていた扉を通るとまず目に入ったのはキャットウォーク。床からキャットウォークに行ける猫用の階段は小物とか置ける(勿論動物が開けれない工夫がされている。)スペースがあって一目で分かる《猫の為の家》だ。
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