彼の優しさ
私服に着替えて、宿題をしているとドアの向こうから『ニャ~』と言う声とがちゃがちゃと音がした。…ルチルか。
立ち上がってそ~っと扉を開けるとルチルとアズサがするっと入ってきた。
「どうしたの?」とルチルの前にしゃがんで言うとすり、と体をすり寄せてきた。
「甘えたいの?…おいで」とラグマットの上に座ったらルチルはわたしの膝の上に乗ってきた。
ルチルを撫でているとアズサがわたしの興味を引こうとしてる。
「甘えん坊ね。」とぽつり、と呟いてルチルを撫でているのとは別の手てアズサの首を書き始めた。
二匹で和んでると誰かが階段を上がってくる足音が聞こえて、わたしの部屋の前で止まると
『藍、お母さんだけど、事件の加害者のご家族の方がいらっしゃっているの。…会いたい?』
……来客ってこの事だったのか。
……でも、あんなことをする人の身内だし、わたしにとって悪い事しか起きなそう。
「ごめんね。会いたく無いって伝えてくれる?」そう言葉を返すと
『分かった。…そう言うわね。』と階段を下りていく音がした。