彼の優しさ

ーside藍ー

話が終わったのかお母さんがわたしの部屋まで来て、「帰られたわよ」と言ってルチルはわたしの膝の上から降りて部屋の外に出ていった。

「さてと。…宿題しなきゃ。」と机に向かうと今度はアズサがノートの上にごろっと乗って邪魔をしてきた。

『遊んで~』と目が言ってる気がする。

首を掻いてあげると気持ち良さそうにしてる。

可愛いから許しちゃうんだよね…宿題出来ないけど。

夕飯時になると、ひょこっと机から降りてドアの前まで行くとガリガリと爪を立てらてたから慌ててドアを開けるとトコトコと階段を下りていった。

……今のうちだ!

そう思って急いで残りの宿題を解いていく。

残り3問という所でお母さんが階段下から

「出来たわよ~」と声が聞こえた。

……お母さんが作った、となると8割の確率で和食だね。

洋はお父さんの専門だし、プロには…ねぇ。

中華だと『キャベツがあれば~』とか簡単なやつがほとんど。
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