彼の優しさ


次の日から稽古が始まった。かなり厳しい稽古……といういじめだった。

頼んできたのにそんなのは知らない、とばかりに厳しい。

ただ、それだけだった。

それと家事、(お父さんたちは何かの有名な賞の審査員とか言って居ない。)学校、猫たちの世話、受験勉強、試験勉強と山積みのスケジュール。

あと、何日…

あと、何日…と数えて早く解放されたい、と願うだけだった。

そして夏祭り当日、もう気力だけで動いている状態。

舞台に上がり、ただ体が覚えている何千回と繰り返して来た事をただ繰り返す。…1回数が増えるだけ。

終わり、舞台裏に戻るとわたしの意識は途切れてしまった。

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