彼の優しさ
分岐点
side 西原 祐
俺は肺炎で入院してる祖母さんの見舞いをしてから帰るために病院の廊下を歩いていた。
ん?……近くの部屋、もうすぐ見舞い時間過ぎるのに話して、る?…いや、これは声からして年若い女性が喚いている。扉の近くにある名札には
『結城 藍』
……ん!?うちの学校の生徒の一人と同じ名前。
今覚えば、声からしても間違う筈無く、本人の声だ。
……これは、通りすぎた方が良いのか?
悩んでいると「すいません。」と声を掛けられた。
「あ、すみません。」と言って道を開けた。
……だが、目の前にいる20代後半ぐらいの女性は
「貴方、確か名前を見ていらっしゃったけど、名前に見覚えがあるのでしょうか?」
「はい。…実は、学校の教え子かも知れなくて…」と言うと、学校名を訪ねられて、
「あぁ。」と納得してから、
「藍ちゃんとの、でしから。…なら部屋へどうぞ。」と言われて女の人は扉の中へ入って言った。