彼の優しさ
自分の気持ちに気付いたけど、先生に告る事は出来ないと思った。
……先生と生徒。きっといけない事だから後の事を考えると諦める事をしなきゃ、と思った。
何度もやりたい事を我慢してきたから、出来るでしょう、と自分に言い聞かせて。
寮には先生との思い出がたくさんあるから居づらかったから寮を出ようとわたしは考えた。
大学から家の距離を考えるとアパートを借りたりした方が四年、と考えると経済的に優しい。
寮はバイト禁止だし、資金集めにバイトしてお金を貯めた方がいいと思った。
夕飯の時間にすっかり仲良くなった真依に今わたしが考えていた事を話すと
「そうだね。あたしもそう考えるね。…社会勉強にもなるしね。」と答えてくれた。
……一番の『先生の事が好きだから、叶わない恋を直視するのが辛い』とは言わなかったけど。
ご飯を食べながら他愛ない話しをしながら自分の心が軋む感覚を誤魔化しながら。