彼の優しさ

side 西原 祐


空気が華やいでいるな…。

バレンタインだからなのか、(甘いもの苦手。)寒いからなのか(寒いのも苦手。)思い人(結城)は学校に居ない。で、俺はテンションがかなり落ちていた。

仕出し弁当は飽きたし、明日はコンビニで買うかな…と思いつつ、コーヒーを買おうと席を立って職員室を出ると、制服姿の結城が居た。

今日、来ていたんだ…。

そんなことを考えていると結城がこっちに来て、小さい紙袋と中くらいの紙袋を渡してくれた。

…出た。バレンタイン。…でも、嬉しい。

「ありがとうな。」と言って、もうちょっと話したかったが、俺は昼休みの次に授業入ってるし、まだ昼飯食ってないからしぶしぶ別れた。

……にしても、小さい方の紙袋、中身は何だ?旨そうな匂いが…。

邪魔されない様に家で食べるか。職員室に戻ると小さい方の紙袋は鞄が閉まってある所に入れて、中くらいの紙袋の中にある箱を取り出すと小さなチェストみたいに引き出しがあり、それを引っ張ると行儀良く並んだクッキー。縦長なのは味が分かりやすい様にだろう。
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