彼の優しさ
「素敵なカルトナージュね。」と隣に居た美術科担当の先生が言った。
「カルトナージュ…ですか?」聞いたことの無い言葉に聞き返すと
「フランスの伝統的な手芸の一種よ。にしても綺麗に作られているわね。これは、生徒から?」
「はい。三年の結城から職員や事務員の皆さんに、と。」
そう言うと、「では、皆さんに分けましょうか」と言う言葉に背中を押されて先ずは職員室にいた職員で分ける事になった。
1枚だけ貰った紅茶のクッキー、旨かったな。
甘いもの苦手でも、あれなら食える。
製菓を志望しているのも納得した。
……ということは、あの小さい紙袋の中身はこれより上なのか?本命らしくチラッと見た感じ箱自体もあのクッキーよりもっと旨いんだろうな…と期待で仕事早く終わらせようとワクワクしながら残りの仕事に着いた。