彼の優しさ

定時より1時間後帰り支度をして残っている職員に挨拶をしてからいそいそと帰った。

車の中は黒基調で助手席に鞄と紙袋を置いて(あれよこれよと袋は増えて5個。…結城以外のは有名なソフトクッキーでも買って渡すか。…本命は…どうしよう。ま、まだ時間はあるし、ゆっくり考えるとして)エンジンをかけた。

家に帰ると煮物の匂いがした。

「ただいま」と言いつつ自分の部屋に直行。

鞄をノートパソコンの前にあるイスに置くとそそくさと部屋着に着替えて、結城から貰った紙袋の中身を取り出してまず箱を眺めた。

…うん。これも俺の好み。捨てれないな…。これは。

蓋を開けると俺の手のひらの半分位の入れ物に入ったチョコのケーキ。…まじ旨そう。

「祐、ご飯よ~」と母さんの声でケーキを閉まって一階に降りた。

「お兄ちゃん、お帰り。」と言う声に振り向くと今年、成人を迎えた妹の麻美。

「ただいま。」と言うと夕飯(やっぱり煮物だった。)に手を付けると麻美が

「今年も貰ったの?バレンタイン。」

「わかった。4つは食って良いから後で渡す」と言ってまた食べ始める。こいつは甘いもの好きだからな。大体言いたい事は分かった。

「4つ?何時もは全部って言ってるのに。…彼女?」………ッ!!
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