彼の優しさ
部屋に戻った俺は取り合えず紙面で見た好印象の順番で数字を書き込んだ。…実際問題、窓から墓が見えていた、とか、実は曰く付きとかはごめんだからな。
その日の夜懐かしい夢を見た。
俺の事を『ゆーお兄ちゃん』
麻美の事を『あーお姉ちゃん』と慕う5歳ぐらいの子。
確か俺との年の差は5歳位、だったか?最初は麻美の友だちとして来ていたのがいつの間にか俺が二人のお守り役になっていたんだよな。
その子は動物に好かれやすいのかいつの間にか散歩中の犬とかに構われて飼い主が止めても犬が離れなくて最後はその子が泣き出す、なんて事もよくあった。
懐かしいなぁ。…あの子の名前何だっけ?そんな疑問に答えるように十歳ぐらいの俺はその子に
『泣かないで?さっきのワンちゃんは藍ちゃんの事が好きだから遊んで貰いたかったんだよ。』……?!今、『藍ちゃん』ってまさか…結城が?あの小さい『藍ちゃん』?そう思うと面影があって本人だと認識するのは容易かった。
マジかよ…。そう思ったとき、スマホのアラームが遠くで鳴っているのに気付いて夢から意識が浮上する感覚がした。